IDカード情報局
カードプリンタの選び方
後悔しない、運用に合わせた選び方
社員証の作り方について、大きく分けて「内製(自社での製造)」か「外注(外部業者への依頼)」の2つの方法があります。この記事では社員証を内製する場合に購入が必要なカードプリンタの選び方についてIDカード専門会社である弊社が解説します。
カードプリンタの種類
カードプリンタには「ダイレクトプリンタ」と「再転写プリンタ」という印刷方式が異なる2種類が存在します。それぞれ特徴があり、用途に合わせてどちらを選ぶかを決定する必要があります。
ダイレクトプリンタ
ダイレクトカードプリンタは、プラスチックカードに直接印刷する方式で、コストパフォーマンスに優れたプリンタです。このプリンタの特徴は、印刷速度が速く、日常的な社員証の発行には十分なクオリティを提供する点です。
- ・イニシャルコスト・ランニングコストが比較的安い
- ・印刷速度が速い
- ・操作が簡単
- ・設置面積が小さい
- ・カードの端まで印刷できない(エッジに若干の余白が残る)
- ・印刷品質が再転写方式に比べやや低い
- ・ICカードへの印刷はチップの凹凸が影響する場合がある
再転写プリンタ
再転写プリンタは、まず再転写フィルムに印刷を行い、その後カードに転写する方式です。この方式では、カードの端まで印刷できるため、写真や複雑なデザインが必要な社員証に向いています。また、カード表面に凸凹があっても問題なく印刷できるため、中にチップの入っている表面に凸面のあるICカードにもキレイに印刷することができます。
- ・カードの端まで余白なく印刷可能
- ・高い印刷品質
- ・ICカードにもキレイに印刷できる
- ・イニシャルコストが比較的高い
- ・印刷速度が比較的遅い
プリンタ種類の選び方:ダイレクトプリンタか再転写プリンタか
まず、印刷するカードがICカードであれば再転写プリンタを推奨いたします。凸面の影響がないほか、カード素材も厭わずにキレイに印刷することが可能です。ダイレクトプリンタでもICカードに印刷できるケースはありますが、表面の素材が限定されること、凸の位置によっては印刷が抜けてしまう恐れがあることから、事前に印字確認が必要です。
一方で、印刷するカードがICカードでないなら、ダイレクトプリンタを推奨いたします。コスト面、印刷速度の面でアドバンテージがあります。ただし、コストよりも印刷の品質に重きを置く場合は、印刷するカードがICカードでなくても再転写プリンタを推奨いたします。エッジにも余白なく印刷できるなど、品質面では再転写プリンタにアドバンテージがあります。
プリンタのオプション機能
発行するカードの用途・デザインによって、プリンタのオプションを選択する必要があります。オプションの選択を間違えると、想定していた用途でカードを発行・運用できない可能性があります。ご注意ください。
両面印刷
社員証の表面に顔写真や名前、裏面にバーコードや注意書きなどを印刷する場合、両面印刷機能が必要です。オフィスにある一般的なコピー機・複合機では両面印刷が出来ることが当然であるため、あまり意識することはないかもしれませんが、カードプリンタは機種によっては両面印刷のオプションがないものもあります。表面を印刷した後に、裏面を印刷する2回通しは推奨できません。発行時間が単純に2倍になるだけでなく、固有のバーコード・QRコードなどは、発行の順番を間違えれば、表に印刷された人のものでないバーコード・QRコードを裏面に印刷してしまうリスクがあります。運用事故につながるリスクなので、裏面に印刷が必要な場合は、必ず両面機をお買い求めください。
磁気エンコード(情報の書き込み)
カードに磁気のエンコードが必要な場合、磁気エンコード対応機をお買い求めください。磁気エンコードには専用の機器が必要で、磁気エンコード対応機はその機器を内蔵しています。専用機器はパソコンとUSBで繋ぐようなものも市販されていますが、印刷とエンコードを分けて発行する場合、印刷された人とエンコードされたデータがマッチしないリスクがあります。こちらも運用事故につながる大きなリスクですので、磁気エンコードに対応したカードプリンタにて、印刷と磁気エンコードをワンパスで完了させることを強く推奨いたします。
また、磁気には国際規格(ISO)のものと日本規格(JISⅡ)の2種類があります。国内で一般的に普及しているものは日本規格のカードですが、たとえば外資系の法人様などの場合、国際規格が採用されている可能性もございます。どちらの規格かはカードを見れば見分けがつきます。磁気ストライプが太いものは国際規格、細いものが日本規格です。わかりにくい場合は、ご遠慮なくお問い合わせください。
ICエンコード(情報の書き込み)
磁気エンコードと同じように、ICエンコードが必要な場合も専用機器を内蔵した対応機種をお買い求めください。磁気エンコードと同様に、印刷と別作業で行った場合は印刷された人とエンコードされたデータのミスマッチが起きるリスクがあります。
また、FeliCaやMIFAREなどカードの種類も多いため、運用に必要なカードへのエンコードに対応したカードプリンタをお選びください。なお、見た目が同じ機種でも販売店によってはIC対応は異なる可能性があります。発行に使用するソフトウェアの仕様に依存することも多いので、ご注意ください。
偽造防止
社員証には、偽造防止機能が求められることがあります。ホログラムやUV印刷といったセキュリティ機能をプリントできるカードプリンタを選べば、偽造や不正使用のリスクを減らすことができます。
入退管理や複合機などの運用ではICや磁気で本人確認するため、見た目上の加工は運用面には影響ありません。しかし、ICや磁気のデータというのは目に見えないもののため、見た目だけではその社員証の真贋を判定できません。偽造が難しい加工を一つ加えておくことで、見た目だけでその真贋を判断できるようになります。2024年4月頃、偽造マイナンバーカードでスマホの契約がなされた事件がありました。こちらはショップ店員が本人確認の際にマイナンバーカードを受け取り、見た目だけで判断したことで起きた事件でした。もちろんマイナンバーカードにも偽造対策は施されていますが、確認者はカード発行者ではないため、偽造対策の箇所にて真贋判定がなされたわけではなかったようです。見た目だけでカードの真贋を問うことは難しい、という教本のような事例です。
弊社の偽造対策に対応したプリンタの例はこちらです。
独自の偽造防止技術Holokote搭載!
DCP-600
標準で10種(デザイン)の透かし印刷ができるほか、オプションとして貴社ロゴなどを透かし印刷できる「Custom Holokote」に対応しております。
独自の偽造防止技術Holokote搭載!
DCP-300
標準で4種(デザイン)の透かし印刷ができるほか、オプションとして貴社ロゴなどを透かし印刷できる「Custom Holokote」に対応しております。
カードプリンタを安心してご使用いただくために
カードプリンタは精密機械です。長くご使用いただいている間に部品の摩耗にて発行の品質が落ちてしまったり、故障して修理が必要になるケースもあります。とはいえ、社員証は社内のインフラとして機能しており、発行が止まってしまうと業務に影響が出てしまう恐れがあります。そのため、導入後のメンテナンスや保守・アフターサービスについても重視していただくことを推奨いたします。
メンテナンス
カードプリンタは埃の混入に弱いため、きれいな状態を保つ必要があります。無水エタノールなどを使って、該当箇所を清潔にする必要があるため、専用のクリーニングキットがあるか、またクリーニングキットが使いやすいかどうかも重要です。
他にも、カード搬送用のローラーは摩耗していくので、そのような消耗部品が交換しやすいかどうかもカードプリンタを選ぶ判断のポイントになります。
また、販売店によっては、アフターサービスとして定期的に上記のようなメンテナンスを実施してくれるサービスもあります。
保証期間・保守契約
安くても保証期間が短いと、長いスパンで見ると修理費用などで割高になってしまう可能性があります。導入後、一定期間の保証期間があると、万が一の早期故障の際も安心です。
また、無償保証期間後のサービスも重要です。多くの場合、カードプリンタは5年で減価償却する備品として計上されます。保証期間が切れたあとも、少なくともこの期間は資産として価値があるものであり、継続的に利用されることがほとんどです。保証期間終了後のトラブルに際して、どのようなサービスが用意されているかも確認しましょう。当然のことながら、導入後の経過年数が長い方が故障リスクは増します。その期間に修理などのサービスを迅速に受けることができないと、運用が長く止まってしまう可能性があります。メーカーに電話などで問い合わせをして、カードプリンタをメーカーに送り返して、修理の見積もりをとって、発注をかけて初めて修理が行われるような状態では安心して運用することができません。
そのため、保証期間終了後のサービスについて、年間〇円で故障時にはすぐに修理してもらえるような保守契約が用意されている機種・販売店が望ましいです。
弊社の保守サービスについてはこちらをご確認ください。
保守サービス
簡単に加入できる保守パック、ご納得いただける内容で締結できる保守契約など保守プランが充実。ユーザー様向けの操作研修を定期開催しており、長く安心して使える環境をご提供いたします。
まとめ:カードプリンタの選び方
まずはダイレクトプリンタか再転写プリンタかを用途に合わせて選択しましょう。ICカードか否か、コスト重視か品質重視かが判断のポイントです。
次に、必要なオプションをご確認ください。裏面への印刷、磁気やICのエンコードが必要か、また偽造対策を施すべきかどうかが選定の基準になります。特に磁気やICは種類が多いので、ご注意ください。信頼できる販売店にご相談いただくことを推奨いたします。
最後に、保守サービスについてご確認ください。カードプリンタは精密機械です。多かれ少なかれ、どんな機械でも故障のリスクはあります。購入時の価格が安くても、故障などの対応に都度費用や時間がかかるようではコストパフォーマンスは高いとは言えません。また、社内のカード運用を止めないために保険をかける意味でも、安心できる保守サービスの提供があるかを販売店にご確認ください。
もちろん、価格のほか、印刷が速い、解像度が高いといった機種のスペックも重要な指標となりえます。各メーカー、工夫を凝らして特徴のあるカードプリンタを販売されており、カタログを並べてスペックを比較すると、どのカードプリンタが一番いいのか、一様には言い難いものがあります。そのため、カードプリンタはハードウェアとしてではなく、一つのサービスまたはソリューションとして捉えていただくことがよろしいかと存じます。いかにハードウェアとしてのスペックが高くても、運用に適していないものや安心して使えないものは相応しくないでしょう。貴社が必要なのは、カードプリンタではなく、カードプリンタで発行する社員証です。社員証を正しく安心に発行できるかどうかが一番重要な点です。ハードウェアのスペックに捉われすぎず、安心できるサービスをご選択ください。
弊社について
弊社はIDの専門企業です。カードプリンタだけでなく、発行用のソフトや顔写真撮影のサービス、カードを入れるアクセサリ、導入後のアフターサービスまでIDカード運用のワンストップサービスを提供するIDのプロです。社員証の作成について、お悩みの方はぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。
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